特別展示「六郷満山展〜神と仏と鬼の郷〜」見どころ(第2弾)をご紹介!

現在、4階文化交流展示室で会期中の特別展示「六郷満山展〜神と仏と鬼の郷〜」では、大分県国東半島より、多くの仏像が展示されています。前回の記事に引き続き、見どころを担当研究員の萬納恵介さん、望月規史さん、小嶋篤さんに聞いてみました!

 

−萬納さんのおすすめの仏像を教えてください。

(萬納)私のおすすめは、豊後高田市にある真木大堂の矜羯羅童子(こんがらどうじ)・制吒迦童子(せいたかどうじ)の二童子像です。平安時代後期の仏像で、この時期は貴族好みの穏やかな表現の仏像のイメージが強いのですが、二童子像の体躯は豊かで、表情にはそれぞれの個性があふれています。細かい部分に目を配ると、足の親指をちょっと上げているんです。仏像に動きを持たせようとしたのですが、こういう細かい工夫は教えてもらわないとなかなか気づかないことで、何度も見てようやく発見できるようなものだと思います。

 

重要文化財 左:矜羯羅童子立像 右:制吒迦童子立像 平安時代 11世紀 豊後高田市・真木大堂 

 

−細かい所にも工夫が凝らされているんですね!他に見る時のポイントはありますか?

(萬納)そうですね、ではこんな風に少しかがんで、下から仏像を見上げてみてはいかがでしょうか?見る角度によって、より生き生きとした表情や動きを感じることができますよ!

真木大堂は山間に所在する寺院ですが、初めて訪れた時、これほどまでにすばらしい仏像があることに驚きました。他に二童子像よりはるかに大きな阿弥陀如来像、不動明王像、大威徳明王像、四天王像も安置されており、今回の展示が六郷満山のごく一端しか示されていないことがよくわかります。ぜひ現地にも足を運んで、六郷満山の”仏像の森”に深く分け入っていただきたいですね。

 

−ありがとうございました。つづいて、銅版法華経を担当した望月さんに伺ってみましょう。まず、時代背景を教えてください。

(望月)平安時代後期、各地で仏教の経典が書写され、それを経筒と呼ばれる筒形の容器に入れて地中に埋める、埋経(まいきょう)が流行していました。これは、お釈迦さまが入滅してから56億7000万年(!)ののち、仏教の正しい教えが失われてしまった世界で弥勒菩薩が説法をする時に備えて、仏教の経典を後世に伝えることを目的として行われました。

  

重要文化財 銅板法華経 平安時代 保延七年(1141)紀重永作 豊後高田市・長安寺

 

重要文化財 銅筥板 平安時代 保延七年(1141)紀重永作 豊後高田市・長安寺

 

−お経といえば紙に墨で書かれた巻物をイメージしますが、地中に埋めていたものもあるんですか?

(望月)お経は紙にだけ書かれたのではありません。例えば石や粘土板、銅板など、紙よりも強い素材に書かれることもありました。紙以外のものにお経が書かれるのは、不思議と西日本地域に多く、特に九州ではそれが顕著と言われています。この銅筥の各側板には様々な観音さまが実に優美な線であらわされています。九州の平安時代を代表する仏教絵画のひとつと言って差し支えないでしょう。

 

−最後に、考古資料を担当した小嶋さん、今回の六郷満山展の楽しみ方を教えてください。

(小嶋)今回の展示では、仏像や面など「顔」を持つ作品が多数展示されています。それらを一つ一つ眺めるだけでも、表情に込められた製作者の想いを感じることができるので、ぜひ作品の造形に注目いただきたいですね。この製作者の想いこそ、六郷満山を形づくる信仰の根底と言えるでしょう。

 

塼仏(せんぶつ)飛鳥時代 7世紀 虚空蔵寺跡・下林遺跡・鷹栖観音境内遺跡出土 大分県・宇佐市教育委員会

また六郷満山の仏教美術には、中央と地方の要素、さらには全国に広がる八幡信仰が根底に流れています。解説や図録を参考に、作品の歴史的背景をふまえて鑑賞すると、さらに楽しんでいただけると思います。

 

−ありがとうございました。六郷満山展は11月5日(日)まで開催中す。どうぞお見逃しなく!

投稿者 | 989tenji |
第5回きゅーはく女子考古部〜古代染めin吉野ヶ里〜

きゅーはく女子考古部5回目の活動は、部員さんの企画です。

部員さんの「なにか染めたい………❤」という一言から、

染めをすることになりました!!

女子考古部

染料も染める方法もたくさんある中で、女子考古部が選んだのは…

貝紫染めベニバナ染めです!

 

吉野ヶ里遺跡から貝紫色の布が発見されたことで、弥生時代に貝の染料があったことがわかっています!

 

もうひとつのベニバナ染め。

吉野ヶ里歴史公園では、ベニバナを栽培しています。

それは、なぜかというと…目

吉野ヶ里遺跡とほぼ同時代の奈良県の纏向(まきむく)遺跡から、ベニバナの花粉が出土しました花

花粉の多さから、染料の廃液に含まれていたものだと考えられています。

そこで吉野ヶ里遺跡でもベニバナを染料としていたのでは!と推測されています。

 

これは、もう直接行くしかない!!

というこでやってきました、佐賀県、吉野ヶ里歴史公園

女子考古部

午前中は、My貫頭衣を着て公園内を散策にた

雲ひとつ無い快晴です☆

副顧問の説明が、より楽しい時間にしてくれましたきらきら

↓集落の入り口には鳥のオブジェが…鳥鳥居の原型です。

女子考古部

↓南内郭は王たちの居住空間です。

女子考古部

竪穴住居の中は思ったよりも広い?

↓ここは武器などを管理する役人の家だと考えられています。

女子考古部

↓貫頭衣と甲冑を着て記念撮影!

女子考古部

↓高床倉庫は、柱と地面に注目ポイント

女子考古部

掘立柱です。地面に穴を掘って直接柱を立てています。

女子考古部

「地面」に残る痕跡から、どのような建物があったのかを推定することができるんですね。

↓下を見ながら歩くと、あちこちに甕棺が!

女子考古部

甕棺墓は弥生時代に九州北部地方で盛んにつくられたお墓です。

埋葬用に作られた大きな甕に遺体を入れますみずら

↓身分の高い人が埋葬されている北墳丘墓は、2100年前の凄みがあります!

女子考古部

古代に想いを馳せつつ、、、

現代考古女子は染めを開始!

女子考古部

まずは、部員さんの中で主導的な役割の染め班の発表から。

女子考古部

カリヤス染め、玉ねぎ染め、クサギ染めなどいろいろ試したことを紹介してくれましたにっこり

きれいな色ですねきらきら

発表の次は、さっそく貝紫染めへ!

貝紫染めイボニシ(上)アカニシ(下)という貝を使います。

女子考古部 イボニシ女子考古部 アカニシ

イボニシは、染め班と部員有志が8月の猛暑日に福岡市の海岸で拾ってきました!

アカニシは有明海で採れるので、吉野ヶ里歴史公園では染色にはいつもアカニシを使うそうです。

今回はアカニシを分けていただきました。

吉野ヶ里歴史公園の方の指導のもと…

〜Let's貝紫染め〜

まず命に感謝しつつ、殻を割ります。

女子考古部

強烈な磯の匂いは我慢!

女子考古部

イボニシ、アカニシともにパープル腺という蛍光黄色?黄緑?のような細い腺が入っています。

女子考古部女子考古部

「どこ?」「どれ?」と言うくらい、

パープル腺はひとつの貝に少ししかありませんびっくり

このため、貝紫色の布は大変高価でした

これを、ピンセットでとります。

女子考古部

女子考古部

1水を足してすり潰します。

女子考古部

先生の「まだまだね」に燃える部員たち。

女子考古部

だんだん、粘り気が出てきました!

女子考古部

い気蕕鳳水を入れたら、染料の完成です!

塩分濃度は3%くらい。

あらかじめ班長が作ってきたステンシルを使って染めます。

ステンシルは固めのほうが塗りやすそうきらきら

女子考古部

布全体を染める場合は、さらに塩水を加えて布でこして…

女子考古部

ドボン水

女子考古部

茶色っぽく濁っていますショック

「どこが??」

なんて思っていましたが…。

ヂった色が、日光にあてると…

女子考古部

!紫色になりました!

紫外線にあたると色が変わるんです!びっくりびっくり

古代の人はいつこのことに気づいたのでしょう…にっこり

Τの匂いは、洗剤入りの水に漬けて煮出すと、とれます☆

女子考古部

完成!

女子考古部

女子考古部

続いて、吉野ヶ里で育ったベニバナで染めます!

〜Let'sベニバナ染め〜

使うのは、「紅もち」です。花びらを平らな餅みたいにして、乾燥させたものです。

女子考古部

◆峭箸發繊廚鮨紊砲弔韻峠世蕕くしておきます。

女子考古部

       △鯢曚吠颪鵑如◆嶇粒イ鮗僂峠个審ソ繊覆△)」を入れながら揉みます!

出てきた赤い液は、別の容器にためていきます。

女子考古部

先生いわく、紅もちの赤い色素が抜けて、茶色っぽくなるまで搾り出すそうです。

女子考古部

交代しながらぎゅむぎゅむ!

感触は堅いパン生地のようです。

揉むこと30分…。

女子考古部

茶色くなってきましたね!

ぅエン酸を入れて混ぜながら、用意したガーゼを浸します!揉みこみます!

女子考古部

女子考古部

染めるガーゼは、スカーフやバンダナなどいろいろ使える長さですはーと

それぞれ輪ゴムでとめたり、ガーゼをねじったりして「絞り」も作りました。

女子考古部

絞ったところは染まらないので、個性的な模様ができます☆

女子考古部

ザ・ピンク!!

どんどん鮮やかになります!

部員さんから『ハタチのピンク』と名づけられた色ですDocomo_kao12

タ紊如∪って…

女子考古部

完成!!

女子考古部

可愛い色が出て良かったですね!

ベニバナ染めは万葉集にも記されています。

どの時代の女性も憧れたに違いありません。

女子考古部

染めを教えてくださった吉野ヶ里の皆さまありがとうございます!

次回活動も部員さん企画です!

行楽日和の中、また外へ繰り出すかもしれません足

お楽しみに!

 

投稿者 | 989edu |
特別展示「大分県国東半島宇佐 六郷満山展〜神と仏と鬼の郷〜」が始まりました!

4階文化交流展示室(3テーマエリアおよび、第5・6・7室)では、11月5日(日)まで「六郷満山展〜神と仏と鬼の郷〜」を開催しています。 六郷満山(ろくごうまんざん)とは、大分県北東部の国東半島(くにさきはんとう)の六郷に古くから由来する寺院群の総称です。 この地には、伝説的な聖僧・仁聞(にんもん)によって始められた山岳信仰と、宇佐神宮を発祥とする八幡信仰が融合した独特な山岳仏教文化が花開き、平成30年(2018年)には開山1300年という、節目の年を迎えます。

 

     

左:国東半島の位置

中:大分県指定有形文化財 宇佐神宮南中楼門

右:国重要文化的景観 田染荘(たしぶのしょう)小崎の農村風景

 

今回は、楠井隆志展示課長と、岸本圭主任研究員のインタビューを交えながら、おすすめの仏像や、普段は見ることのできない展示の準備の様子をご紹介します!

 

−展示作業で難しいところはどんな所ですか?

(楠井)展覧会のためにお借りしてきた大切な仏像ですので「絶対に傷をつけない!」ことに全神経を注いでいます。仏像をお寺から博物館まで無事に輸送でき、安全に展示室まで運べたことを確認しながら、慎重に開梱(かいこん)作業を行っています。

 

 

▷所蔵先の豊後高田市・無動寺(むどうじ)から薬師如来坐像を運ぶ様子

 

 

▷九州国立博物館の展示室内で梱包を解く様子

 

 
▷仏像を傷つけないよう慎重に運びながら、展示場所に設置しています

 

−この仏像の見どころを教えてください。

(楠井)この薬師如来坐像は平安時代後期の一木彫像です。浅く刻まれた衣紋(えもん)の表現や、おだやかな表情、顔の肉づき、胸の膨らみにも注目です。思わず触れてみたくなるような張りや弾力のある肉体表現や、その”迫力”を間近で是非お楽しみいただきたいですね。

 

 

大分県指定有形文化財 薬師如来坐像 無動寺(大分県豊後高田市) 平安時代 11世紀

 

−ありがとうございました。続いて、石像がずらりと並ぶ展示室(第6室)に入ってみましょう。岸本研究員は図録用の写真撮影や作品の借用のために国東半島に何度も足を運んだそうですが、その時のエピソードや作品の見どころについて教えてください。

(岸本)六郷満山という仏教文化は国東半島の深い緑や険しい岩場などの豊かな自然の中で育まれましたが、周囲に広がる海もまたそうした信仰を構成する重要な要素です。杵築市の八幡奈多宮(はちまんなだぐう)の市杵島(いちきしま)では、神秘的な夜明けに巡り合うことができました。目の前に広がる大自然の中で、歴史を感じるひとときは格別です。九州国立博物館でご覧いただいた後は、国東半島にも実際に足を運んでいただきたいですね。

 

  

▷八幡奈多宮の市杵島の夜明け

 

−展示についてお伺いします。具体的にはどのような点を工夫しながら展示を手がけているのですか?

(岸本)特に彫刻は照明の当て方ひとつで、見え方や印象が大きく変わります。例えば、この十王像の豊かな表情にご注目ください。十王像のひとつである閻魔(えんま)大王のいかめしい表情も、どことなくユーモアがあるように感じられませんか?篤い信仰心の中にどことなく和みがあるのも、この地の特色です。展示ケースに設置する際には、展示品が一番引き立つにはどうすれば良いか、光と影のバランスをとることにこだわりをもって取り組んでいますよ。

 

 

大分県指定有形文化財 地蔵菩薩坐像および十王坐像・倶生神立像 大分県国東市 重藤十王堂 室町時代 明徳4年(1394)

 

 

▷展示品の魅力を十分に引き出せるよう、照明の角度も工夫しています

 

次回も引き続き「六郷満山展」の見どころを紹介してまいります。どうぞお楽しみに!

 

◆展覧会の詳細はこちらから

http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_pre145.html

投稿者 | 989tenji |
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